理美容業

Vol.06

Vol.06 美容室の働き方を予約設計から変える

2026年4月15日

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PROFILE

会社名:サンプル美容室株式会社

代表者名:伊藤彩

所在地:神奈川県藤沢市鵠沼橘

設立年:2015年

従業員数:11名

事業内容:美容室運営、髪質改善メニュー、訪問カット

サイト:sample-beauty.example.jp

藤沢の店内で、伊藤彩代表は予約表の余白に「30分あける」と書き込みました。美容室では席を埋めるほど売上は伸びます。でも、会話を急がせる店にはしたくなかったと言います。

始まりは、予定通りにいかなかった一日から

伊藤氏が今の事業を語るとき、最初に出てくるのは成功した案件ではありません。「きれいに進んだ仕事より、手が止まった日のことの方が覚えています」と話します。創業時から順調だったわけではなく、むしろ早い段階で自分たちの弱さを見せつけられました。

——最初から今の形を狙っていたのですか。
伊藤氏: 「違います。最初は売上を作ることで頭がいっぱいでした。ただ、開業当初は1日28人を受け、夕方にはスタッフ全員の声が小さくなっていました。その時に、数を追うだけでは続かないと分かりました。何を受けて、何を受けないか。そこを決めないと、会社の体力が先に削られるんです」

転機になったのは、予約枠を詰め込まず、指名客の滞在時間を守ったこと

転機は大きな投資ではなく、日々の優先順位を変えたことでした。サンプル美容室株式会社では、売上表の横に現場のメモを置き、数字だけでは判断しない習慣を残しています。たとえば一件あたりの利益が高くても、準備に無理が出る仕事は次回の受け方を変える。逆に小さな依頼でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。

「判断を遅らせると、結局だれかが現場で無理をします」と伊藤氏は言います。会議で決めるのは、理想の話ではありません。今週の人員、道具、移動時間、担当者の疲れ具合。そうした細かい条件を並べたうえで、受ける量を決めています。

強みは、派手な言葉より手順に出る

同社のこだわりは、カウンセリング、薬剤の待ち時間、次回来店の提案まで一人の流れで設計することです。外から見ると地味ですが、ここを曖昧にすると品質は簡単に揺れます。取材中にも、伊藤氏はスタッフの一言に何度かメモを取りました。理由を聞くと「あとで本人に返すためです。聞きっぱなしにすると、次から言ってくれなくなる」と答えました。

——人を増やせば解決する問題ではない。
伊藤氏: 「そうですね。人数を増やす前に、迷う場所を減らす方が先です。うちは大きな会社ではありません。だからこそ、一人の経験を一人の中に閉じ込めない。写真でも、短いメモでも、次の人が使える形にしておく。それだけで翌月のミスが減ることがあります」

これから広げたいこと、広げないこと

これからの目標は、訪問カットを月40件まで広げ、外出しづらい人にも同じ品質を届けることです。ただし、伊藤氏は拡大を急ぎません。採用を増やす、拠点を増やす、広告を強める。選択肢はありますが、今の顧客に向き合う時間が削られるなら採らないと決めています。

最後に、同じ地域で事業を続ける人へ伝えたいことを尋ねました。少し考えてから、伊藤氏は「自分たちが続けられる速度を、他人の物差しで決めないこと」と答えました。大きく見せるより、明日も同じ品質で開けること。この記事に出てきた姿勢は、多くの小さな会社に通じる現実味があります。

閉店後の鏡の前で、伊藤氏は翌日の予約表に手書きの注意を足していました。薬剤名ではなく「前回、雨の日に広がった」と書く。技術を生活の記憶に結び直すことが、再来店の理由になっています。

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