Vol.12
Vol.12 東大阪市高井田の澄川ラインが夜だけ出す煮込みで品質を落とさない判断
2026年1月27日

PROFILE
会社名:株式会社澄川ライン
代表者名:戸倉 航平
所在地:大阪東大阪市高井田
設立年:2003年
従業員数:30名
事業内容:夜だけ出す煮込み、季節の小鉢定食、地域企業向けの相談対応
サイト:vol12-food.example.jp
東大阪市高井田の仕込み台で、戸倉 航平代表は夜だけ出す煮込みの納品前チェックをしていました。派手な発表はありません。けれど、仕込み量を天気で変えるという一つの癖に、この会社の続け方が出ています。
順調ではなかった創業期の話
株式会社澄川ラインの創業から数年は、来た仕事を断らないことが正しいと思っていました。ところが2007年の春、夜だけ出す煮込みの納期が三件重なり、仕込み台に残ったメモだけでは段取りを戻せなくなりました。
——今も覚えている失敗はありますか。
戸倉 航平氏: 「きっかけは格好いいものではありません。ランチ数を減らして予約制に寄せたあと、予定表より人の顔を先に見るようになりました。夜だけ出す煮込みは段取りの乱れがすぐ表に出ます。小さい会社ほど、無理の出どころをごまかせません」
断る仕事を決めてから、現場が落ち着いた
株式会社澄川ラインでは、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえば夜だけ出す煮込みの依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に季節の小鉢定食のように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
仕込み台にある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど戸倉 航平代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
任せる前に、判断の順番をそろえる
——人に任せる時に気をつけていることは何ですか。
戸倉 航平氏: 「任せる前に、どこで迷うかを聞きます。仕込み量を天気で変えるだけでも、次の人の入り方が変わります。立派な資料より、その日の現場で使える一言の方が残ることがあります」
この日、株式会社澄川ラインでは夜だけ出す煮込みの相談が二件重なっていました。戸倉 航平代表は順番を決める前に、誰が何を見落としそうかを聞きます。予定表より先に迷いを出す。そこが現場を軽くしています。
これからと、地域へのメッセージ
戸倉 航平代表の関心は、夜だけ出す煮込みの相談を次の世代へ渡すための記録づくりにあります。広げる前に、今の30人で約束を守れるかを見る。そこを飛ばすと、東大阪市高井田で積み上げてきた紹介の理由が弱くなると言います。
——会社を大きくすることへの考え方を聞かせてください。
戸倉 航平氏: 「急ぐ時ほど、何をしないかを決めます。東大阪市高井田の仕事は顔が近いので、無理をするとすぐ伝わります。長く続けたいなら、背伸びより約束を守る方が先です」
取材後、仕込み台では次の夜だけ出す煮込みの準備が始まっていました。声は大きくありません。けれど、株式会社澄川ラインでは誰が何を確認するかが自然に決まっていました。大阪の小さな事業として見た時の現実味があります。