Vol.15
Vol.15 函館市弁天町の葉月サービスが賃貸管理で地域の困りごとを拾う経営
2026年1月19日

PROFILE
会社名:株式会社葉月サービス
代表者名:緒方 智久
所在地:北海道函館市弁天町
設立年:2003年
従業員数:44名
事業内容:賃貸管理、小口事業融資、地域企業向けの相談対応
サイト:vol15-realestate.example.jp
北海道の住宅地から少し入った場所に、株式会社葉月サービスはあります。入口の棚には賃貸管理に関するメモが残され、緒方 智久代表は「ここを雑にすると後で戻ってくる」と話します。
始まりは、予定通りにいかなかった月から
緒方 智久代表が最初に語ったのは、売上が伸びた話ではありません。2006年3月、主力だった仕事が二件続けて止まり、予定していた人員表が空白になりました。「賃貸管理の件数が多いことと、株式会社葉月サービスが強いことは別でした」と振り返ります。
——最初から今の形を狙っていたのですか。
緒方 智久氏: 「狙っていたというより、数字より生活の順番を見たことが先でした。売上だけ見れば痛かったです。でも、そこで受け方を変えなければ、44人の会社なのに一人の我慢で回す形になっていたと思います。今は月末に9項目だけ、現場のメモを見返します」
増やす前に、受け方を変えた
株式会社葉月サービスでは、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえば賃貸管理の依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に小口事業融資のように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
金融機関の面談室にある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど緒方 智久代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
一人の経験を閉じ込めない
——記録を続けるための工夫は。
緒方 智久氏: 「任せる前に、どこで迷うかを聞きます。写真に残らない傷をメモするだけでも、次の人の入り方が変わります。立派な資料より、その日の現場で使える一言の方が残ることがあります」
この日、株式会社葉月サービスでは賃貸管理の相談が二件重なっていました。緒方 智久代表は順番を決める前に、誰が何を見落としそうかを聞きます。予定表より先に迷いを出す。そこが現場を軽くしています。
地域で続ける会社として
次に手をつけるなら、賃貸管理の相談を次の世代へ渡すための記録づくりだと話します。とはいえ、株式会社葉月サービスは広告を急に増やすつもりはありません。賃貸管理を頼む人が「前にも聞いてくれた」と思える距離を、先に守りたいからです。
——会社を大きくすることへの考え方を聞かせてください。
緒方 智久氏: 「大きく見せるより、明日も同じ温度で金融機関の面談室に立てることだと思います。賃貸管理は速さだけで勝てない場面が多いです。断る理由、待ってもらう理由、もう一度頼まれる理由を、自分たちの言葉で持っておきたいです」
取材後、金融機関の面談室では次の賃貸管理の準備が始まっていました。声は大きくありません。けれど、株式会社葉月サービスでは誰が何を確認するかが自然に決まっていました。北海道の小さな事業として見た時の現実味があります。