Vol.48
Vol.48 宇治市小倉町の港町工房がギフト提案で記録から始める会社づくり
2025年10月11日

PROFILE
会社名:株式会社港町工房
代表者名:日向 大地
所在地:京都宇治市小倉町
設立年:2011年
従業員数:54名
事業内容:ギフト提案、中古品の査定、地域企業向けの相談対応
サイト:vol48-retail.example.jp
取材に訪れたのは午前7時過ぎ。株式会社港町工房の閉店後の店内では、ギフト提案を待つ小さな列ができていました。日向 大地代表は、数字より先に現場の表情を見ます。
続け方を考え直した一件
日向 大地代表が覚えている最初の違和感は、月末の売上表ではなく、朝の空気に出たと言います。3月のある週、スタッフが誰も口を開かず、閉店後の店内の確認だけが増えました。代表はそこで仕事の受け方を見直しました。
——転機になった出来事を一つ挙げるなら何ですか。
日向 大地氏: 「狙っていたというより、修理と相談を売上の柱にしたことが先でした。売上だけ見れば痛かったです。でも、そこで受け方を変えなければ、54人の会社なのに一人の我慢で回す形になっていたと思います。今は月末に12項目だけ、現場のメモを見返します」
売上表の横に、現場メモを置く理由
株式会社港町工房では、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえばギフト提案の依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に中古品の査定のように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
閉店後の店内にある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど日向 大地代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
強みは、手順と会話の間にある
——手順書だけでは足りなかった点は。
日向 大地氏: 「うちは大きな会社ではないので、全員が同じ動きにはなりません。だから値引き前に置き場所を変える。それを見て、次の担当が自分の言葉で確認できればいいんです」
取材中にも、スタッフがギフト提案について短く確認しました。日向 大地代表は結論を急がず、前回の記録を一緒に探します。正解より先に、判断の順番をそろえる。その数分が、あとで大きな手戻りを防いでいます。
大きく見せない成長の仕方
株式会社港町工房が次に進めたいのは、宇治市小倉町の顧客から来る細かな相談を、担当者任せにしない受付の形づくりです。ただし、日向 大地代表は拡大を急ぎません。京都で今の顧客が困った時に思い出せる状態を保つ。そこで無理をすると、会社の声が薄くなるからです。
——同じ地域で事業を続ける人へ伝えたいことは。
日向 大地氏: 「続ける会社には、派手ではない約束が必要です。株式会社港町工房なら、いつ返事をするか、どこまで見るか、何を断るか。そこを曖昧にしないだけで、お客さんもスタッフも少し楽になります」
最後に見たのは、閉店後の店内に貼られた古いチェック表でした。新しい仕組みではありません。それでも日向 大地代表は「残っているものには理由がある」と言います。大げさに語らない強さが、そこにありました。