Vol.28
Vol.28 京都市伏見区の篠浦商会が季節棚の編集で急がず伸ばす会社づくり
2025年12月10日

PROFILE
会社名:株式会社篠浦商会
代表者名:桂木 大地
所在地:京都京都市伏見区
設立年:2002年
従業員数:38名
事業内容:季節棚の編集、地域配達、地域企業向けの相談対応
サイト:vol28-retail.example.jp
京都の住宅地から少し入った場所に、株式会社篠浦商会はあります。入口の棚には季節棚の編集に関するメモが残され、桂木 大地代表は「ここを雑にすると後で戻ってくる」と話します。
続け方を考え直した一件
桂木 大地代表が覚えている最初の違和感は、月末の売上表ではなく、朝の空気に出たと言います。7月のある週、スタッフが誰も口を開かず、バックヤードの棚の確認だけが増えました。代表はそこで仕事の受け方を見直しました。
——転機になった出来事を一つ挙げるなら何ですか。
桂木 大地氏: 「きっかけは格好いいものではありません。ネット販売を全部追わないと決めたあと、予定表より人の顔を先に見るようになりました。季節棚の編集は段取りの乱れがすぐ表に出ます。小さい会社ほど、無理の出どころをごまかせません」
売上表の横に、現場メモを置く理由
株式会社篠浦商会では、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえば季節棚の編集の依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に地域配達のように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
バックヤードの棚にある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど桂木 大地代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
強みは、手順と会話の間にある
——人に任せる時に気をつけていることは何ですか。
桂木 大地氏: 「最初は手順書を厚くしようとしました。でも読まれないんです。今は、値引き前に置き場所を変えることから始めています。写真一枚、短い一文、朝礼での確認。それくらい小さくしないと続きません」
取材中にも、スタッフが季節棚の編集について短く確認しました。桂木 大地代表は結論を急がず、前回の記録を一緒に探します。正解より先に、判断の順番をそろえる。その数分が、あとで大きな手戻りを防いでいます。
大きく見せない成長の仕方
株式会社篠浦商会が次に進めたいのは、京都周辺の小さな会社同士で、困った時に仕事を回し合える関係づくりです。ただし、桂木 大地代表は拡大を急ぎません。京都で今の顧客が困った時に思い出せる状態を保つ。そこで無理をすると、会社の声が薄くなるからです。
——急がない経営をどう捉えていますか。
桂木 大地氏: 「急ぐ時ほど、何をしないかを決めます。京都市伏見区の仕事は顔が近いので、無理をするとすぐ伝わります。長く続けたいなら、背伸びより約束を守る方が先です」
取材後、バックヤードの棚では次の季節棚の編集の準備が始まっていました。声は大きくありません。けれど、株式会社篠浦商会では誰が何を確認するかが自然に決まっていました。京都の小さな事業として見た時の現実味があります。