Vol.75
Vol.75 函館市弁天町の麦島パートナーズが賃貸管理で地域の困りごとを拾う経営
2025年7月23日

PROFILE
会社名:株式会社麦島パートナーズ
代表者名:森部 佳奈
所在地:北海道函館市弁天町
設立年:2008年
従業員数:45名
事業内容:賃貸管理、空き家相談、地域企業向けの相談対応
サイト:vol75-realestate.example.jp
函館市弁天町の商店街の相談机で、森部 佳奈代表は賃貸管理の納品前チェックをしていました。派手な発表はありません。けれど、断る理由も記録するという一つの癖に、この会社の続け方が出ています。
始まりは、予定通りにいかなかった月から
株式会社麦島パートナーズの創業から数年は、来た仕事を断らないことが正しいと思っていました。ところが2013年の春、賃貸管理の納期が三件重なり、商店街の相談机に残ったメモだけでは段取りを戻せなくなりました。
——会社の方向を決め直した瞬間はありますか。
森部 佳奈氏: 「狙っていたというより、相談初回の聞き方を固定したことが先でした。売上だけ見れば痛かったです。でも、そこで受け方を変えなければ、45人の会社なのに一人の我慢で回す形になっていたと思います。今は月末に12項目だけ、現場のメモを見返します」
増やす前に、受け方を変えた
株式会社麦島パートナーズでは、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえば賃貸管理の依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に空き家相談のように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
商店街の相談机にある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど森部 佳奈代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
一人の経験を閉じ込めない
——新人に最初に伝えることは何ですか。
森部 佳奈氏: 「任せる前に、どこで迷うかを聞きます。断る理由も記録するだけでも、次の人の入り方が変わります。立派な資料より、その日の現場で使える一言の方が残ることがあります」
この日、株式会社麦島パートナーズでは賃貸管理の相談が二件重なっていました。森部 佳奈代表は順番を決める前に、誰が何を見落としそうかを聞きます。予定表より先に迷いを出す。そこが現場を軽くしています。
地域で続ける会社として
次に手をつけるなら、賃貸管理の相談を次の世代へ渡すための記録づくりだと話します。とはいえ、株式会社麦島パートナーズは広告を急に増やすつもりはありません。賃貸管理を頼む人が「前にも聞いてくれた」と思える距離を、先に守りたいからです。
——今後も変えないと決めていることは。
森部 佳奈氏: 「急ぐ時ほど、何をしないかを決めます。函館市弁天町の仕事は顔が近いので、無理をするとすぐ伝わります。長く続けたいなら、背伸びより約束を守る方が先です」
取材後、商店街の相談机では次の賃貸管理の準備が始まっていました。声は大きくありません。けれど、株式会社麦島パートナーズでは誰が何を確認するかが自然に決まっていました。北海道の小さな事業として見た時の現実味があります。