Vol.84
Vol.84 久留米市通町の麦島企画が保守用ダッシュボードで小さな現場改善の積み重ね
2025年6月25日

PROFILE
会社名:株式会社麦島企画
代表者名:北見 絵理
所在地:福岡久留米市通町
設立年:2009年
従業員数:25名
事業内容:保守用ダッシュボード、在庫連携API、地域企業向けの相談対応
サイト:vol84-it.example.jp
福岡の住宅地から少し入った場所に、株式会社麦島企画はあります。入口の棚には保守用ダッシュボードに関するメモが残され、北見 絵理代表は「ここを雑にすると後で戻ってくる」と話します。
会社の癖が見えた最初の失敗
株式会社麦島企画の創業から数年は、来た仕事を断らないことが正しいと思っていました。ところが2015年の春、保守用ダッシュボードの納期が三件重なり、ホワイトボード前に残ったメモだけでは段取りを戻せなくなりました。
——創業期にいちばん困ったことは何でしたか。
北見 絵理氏: 「きっかけは格好いいものではありません。受託範囲を絞ったあと、予定表より人の顔を先に見るようになりました。保守用ダッシュボードは段取りの乱れがすぐ表に出ます。小さい会社ほど、無理の出どころをごまかせません」
転機は、大きな投資より小さな線引きだった
株式会社麦島企画では、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえば保守用ダッシュボードの依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に在庫連携APIのように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
ホワイトボード前にある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど北見 絵理代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
こだわりは、説明よりも段取りに出る
——記録を続けるための工夫は。
北見 絵理氏: 「うちは大きな会社ではないので、全員が同じ動きにはなりません。だから要件を一枚の画面に戻す。それを見て、次の担当が自分の言葉で確認できればいいんです」
ホワイトボード前では、担当者が在庫連携APIの段取りを確認していました。北見 絵理代表は「それ、誰が次に見る?」とだけ返します。答えを渡し切らないことで、保守用ダッシュボードの次の担当が使える記録に変えていました。
次に残したい仕事、残さない仕事
株式会社麦島企画が次に進めたいのは、無理な受注を減らしながら、紹介で来た仕事を断らない体制づくりです。ただし、北見 絵理代表は拡大を急ぎません。福岡で今の顧客が困った時に思い出せる状態を保つ。そこで無理をすると、会社の声が薄くなるからです。
——同じ地域で事業を続ける人へ伝えたいことは。
北見 絵理氏: 「急ぐ時ほど、何をしないかを決めます。久留米市通町の仕事は顔が近いので、無理をするとすぐ伝わります。長く続けたいなら、背伸びより約束を守る方が先です」
最後に見たのは、ホワイトボード前に貼られた古いチェック表でした。新しい仕組みではありません。それでも北見 絵理代表は「残っているものには理由がある」と言います。大げさに語らない強さが、そこにありました。