不動産・金融

Vol.85

Vol.85 札幌市白石区の久遠製作室が小口事業融資で次の担い手へ渡す仕組み

2025年6月21日

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PROFILE

会社名:株式会社久遠製作室

代表者名:岩瀬 絵理

所在地:北海道札幌市白石区

設立年:1998年

従業員数:21名

事業内容:小口事業融資、店舗物件の仲介、地域企業向けの相談対応

サイト:vol85-realestate.example.jp

北海道の住宅地から少し入った場所に、株式会社久遠製作室はあります。入口の棚には小口事業融資に関するメモが残され、岩瀬 絵理代表は「ここを雑にすると後で戻ってくる」と話します。

始まりは、予定通りにいかなかった月から

株式会社久遠製作室の創業から数年は、来た仕事を断らないことが正しいと思っていました。ところが2005年の春、小口事業融資の納期が三件重なり、管理物件の階段に残ったメモだけでは段取りを戻せなくなりました。

——最初から今の形を狙っていたのですか。
岩瀬 絵理氏: 「売上が落ちた時より、同じ説明を三回した時の方が危ないと思いました。数字より生活の順番を見たことで、受ける量と説明する順番を変えました。そこから少しずつ、現場の声が戻ってきました」

増やす前に、受け方を変えた

株式会社久遠製作室では、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえば小口事業融資の依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に店舗物件の仲介のように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。

管理物件の階段にある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど岩瀬 絵理代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。

一人の経験を閉じ込めない

——品質が揺れる前に見る数字はありますか。
岩瀬 絵理氏: 「最初は手順書を厚くしようとしました。でも読まれないんです。今は、写真に残らない傷をメモすることから始めています。写真一枚、短い一文、朝礼での確認。それくらい小さくしないと続きません」

この日、株式会社久遠製作室では小口事業融資の相談が二件重なっていました。岩瀬 絵理代表は順番を決める前に、誰が何を見落としそうかを聞きます。予定表より先に迷いを出す。そこが現場を軽くしています。

地域で続ける会社として

株式会社久遠製作室が次に進めたいのは、北海道周辺の小さな会社同士で、困った時に仕事を回し合える関係づくりです。ただし、岩瀬 絵理代表は拡大を急ぎません。北海道で今の顧客が困った時に思い出せる状態を保つ。そこで無理をすると、会社の声が薄くなるからです。

——会社を大きくすることへの考え方を聞かせてください。
岩瀬 絵理氏: 「続ける会社には、派手ではない約束が必要です。株式会社久遠製作室なら、いつ返事をするか、どこまで見るか、何を断るか。そこを曖昧にしないだけで、お客さんもスタッフも少し楽になります」

帰り際、管理物件の階段には次の予定を書いた小さな紙が残っていました。岩瀬 絵理代表はそれを見て、「こういう紙が一番あとで効くんです」と笑います。こうした名もない紙には、続ける会社に必要な細部が宿ります。

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