Vol.86
Vol.86 川崎市中原区の青瀬デザインが短時間カットで相談を断らないための段取り
2025年6月17日

PROFILE
会社名:株式会社青瀬デザイン
代表者名:戸倉 航平
所在地:神奈川川崎市中原区
設立年:2004年
従業員数:61名
事業内容:短時間カット、予約制まつ毛施術、地域企業向けの相談対応
サイト:vol86-beauty.example.jp
取材に訪れたのは午前10時過ぎ。株式会社青瀬デザインのシャンプーブースでは、短時間カットを待つ小さな列ができていました。戸倉 航平代表は、数字より先に現場の表情を見ます。
最初の転機は、売上が止まった週にあった
戸倉 航平代表が覚えている最初の違和感は、月末の売上表ではなく、朝の空気に出たと言います。10月のある週、スタッフが誰も口を開かず、シャンプーブースの確認だけが増えました。代表はそこで仕事の受け方を見直しました。
——創業期にいちばん困ったことは何でしたか。
戸倉 航平氏: 「狙っていたというより、スタッフの休憩を予約表から守ったことが先でした。売上だけ見れば痛かったです。でも、そこで受け方を変えなければ、61人の会社なのに一人の我慢で回す形になっていたと思います。今は月末に16項目だけ、現場のメモを見返します」
数字だけで決めないための表を作った
株式会社青瀬デザインでは、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえば短時間カットの依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に予約制まつ毛施術のように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
シャンプーブースにある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど戸倉 航平代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
現場の迷いを翌月に残さない
——新人に最初に伝えることは何ですか。
戸倉 航平氏: 「最初は手順書を厚くしようとしました。でも読まれないんです。今は、薬剤の置き時間を写真で残すことから始めています。写真一枚、短い一文、朝礼での確認。それくらい小さくしないと続きません」
別のスタッフが、納期のメモを持って戸倉 航平代表のところへ来ました。話は三分ほどで終わりましたが、最後に短時間カットの確認者だけは紙に残します。小さな手間を省かないところに、株式会社青瀬デザインの癖があります。
広げる前に守りたいこと
戸倉 航平代表の関心は、神奈川周辺の小さな会社同士で、困った時に仕事を回し合える関係づくりにあります。広げる前に、今の61人で約束を守れるかを見る。そこを飛ばすと、川崎市中原区で積み上げてきた紹介の理由が弱くなると言います。
——同じ地域で事業を続ける人へ伝えたいことは。
戸倉 航平氏: 「続ける会社には、派手ではない約束が必要です。株式会社青瀬デザインなら、いつ返事をするか、どこまで見るか、何を断るか。そこを曖昧にしないだけで、お客さんもスタッフも少し楽になります」
帰り際、シャンプーブースには次の予定を書いた小さな紙が残っていました。戸倉 航平代表はそれを見て、「こういう紙が一番あとで効くんです」と笑います。こうした名もない紙には、続ける会社に必要な細部が宿ります。