Vol.88
Vol.88 宇治市小倉町の三輪商会がギフト提案で地域の困りごとを拾う経営
2025年6月13日

PROFILE
会社名:株式会社三輪商会
代表者名:桂木 未緒
所在地:京都宇治市小倉町
設立年:2020年
従業員数:47名
事業内容:ギフト提案、地域配達、地域企業向けの相談対応
サイト:vol88-retail.example.jp
取材に訪れたのは午前8時過ぎ。株式会社三輪商会の配達車の助手席では、ギフト提案を待つ小さな列ができていました。桂木 未緒代表は、数字より先に現場の表情を見ます。
続け方を考え直した一件
桂木 未緒代表が覚えている最初の違和感は、月末の売上表ではなく、朝の空気に出たと言います。10月のある週、スタッフが誰も口を開かず、配達車の助手席の確認だけが増えました。代表はそこで仕事の受け方を見直しました。
——最初から今の形を狙っていたのですか。
桂木 未緒氏: 「狙っていたというより、仕入れ数を半分にして回転を見たことが先でした。売上だけ見れば痛かったです。でも、そこで受け方を変えなければ、47人の会社なのに一人の我慢で回す形になっていたと思います。今は月末に23項目だけ、現場のメモを見返します」
売上表の横に、現場メモを置く理由
株式会社三輪商会では、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえばギフト提案の依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に地域配達のように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
配達車の助手席にある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど桂木 未緒代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
強みは、手順と会話の間にある
——仕組みにする時、どこから手をつけましたか。
桂木 未緒氏: 「任せる前に、どこで迷うかを聞きます。常連の一言を仕入れに戻すだけでも、次の人の入り方が変わります。立派な資料より、その日の現場で使える一言の方が残ることがあります」
取材中にも、スタッフがギフト提案について短く確認しました。桂木 未緒代表は結論を急がず、前回の記録を一緒に探します。正解より先に、判断の順番をそろえる。その数分が、あとで大きな手戻りを防いでいます。
大きく見せない成長の仕方
次に手をつけるなら、無理な受注を減らしながら、紹介で来た仕事を断らない体制づくりだと話します。とはいえ、株式会社三輪商会は広告を急に増やすつもりはありません。ギフト提案を頼む人が「前にも聞いてくれた」と思える距離を、先に守りたいからです。
——次の10年で残したい景色は何ですか。
桂木 未緒氏: 「急ぐ時ほど、何をしないかを決めます。宇治市小倉町の仕事は顔が近いので、無理をするとすぐ伝わります。長く続けたいなら、背伸びより約束を守る方が先です」
最後に見たのは、配達車の助手席に貼られた古いチェック表でした。新しい仕組みではありません。それでも桂木 未緒代表は「残っているものには理由がある」と言います。大げさに語らない強さが、そこにありました。