Vol.92
Vol.92 東大阪市高井田の灯野相談所が朝焼きの惣菜パンで品質を落とさない判断
2025年6月1日

PROFILE
会社名:株式会社灯野相談所
代表者名:園井 航平
所在地:大阪東大阪市高井田
設立年:2003年
従業員数:47名
事業内容:朝焼きの惣菜パン、夜だけ出す煮込み、地域企業向けの相談対応
サイト:vol92-food.example.jp
東大阪市高井田の二階の客席で、園井 航平代表は朝焼きの惣菜パンの納品前チェックをしていました。派手な発表はありません。けれど、常連の苦手な味をメモするという一つの癖に、この会社の続け方が出ています。
順調ではなかった創業期の話
園井 航平代表が最初に語ったのは、売上が伸びた話ではありません。2012年4月、主力だった仕事が二件続けて止まり、予定していた人員表が空白になりました。「朝焼きの惣菜パンの件数が多いことと、株式会社灯野相談所が強いことは別でした」と振り返ります。
——数字の見方はいつ変わりましたか。
園井 航平氏: 「狙っていたというより、仕込みを一人に閉じないようにしたことが先でした。売上だけ見れば痛かったです。でも、そこで受け方を変えなければ、47人の会社なのに一人の我慢で回す形になっていたと思います。今は月末に58項目だけ、現場のメモを見返します」
断る仕事を決めてから、現場が落ち着いた
株式会社灯野相談所では、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえば朝焼きの惣菜パンの依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に夜だけ出す煮込みのように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
二階の客席にある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど園井 航平代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
任せる前に、判断の順番をそろえる
——人に任せる時に気をつけていることは何ですか。
園井 航平氏: 「任せる前に、どこで迷うかを聞きます。常連の苦手な味をメモするだけでも、次の人の入り方が変わります。立派な資料より、その日の現場で使える一言の方が残ることがあります」
二階の客席では、担当者が夜だけ出す煮込みの段取りを確認していました。園井 航平代表は「それ、誰が次に見る?」とだけ返します。答えを渡し切らないことで、朝焼きの惣菜パンの次の担当が使える記録に変えていました。
これからと、地域へのメッセージ
次に手をつけるなら、大阪周辺の小さな会社同士で、困った時に仕事を回し合える関係づくりだと話します。とはいえ、株式会社灯野相談所は広告を急に増やすつもりはありません。朝焼きの惣菜パンを頼む人が「前にも聞いてくれた」と思える距離を、先に守りたいからです。
——今後も変えないと決めていることは。
園井 航平氏: 「急ぐ時ほど、何をしないかを決めます。東大阪市高井田の仕事は顔が近いので、無理をするとすぐ伝わります。長く続けたいなら、背伸びより約束を守る方が先です」
帰り際、二階の客席には次の予定を書いた小さな紙が残っていました。園井 航平代表はそれを見て、「こういう紙が一番あとで効くんです」と笑います。こうした名もない紙には、続ける会社に必要な細部が宿ります。