Vol.95
Vol.95 旭川市永山の三輪製作室が小口事業融資で現場の声から生まれた強み
2025年5月24日

PROFILE
会社名:株式会社三輪製作室
代表者名:日向 啓吾
所在地:北海道旭川市永山
設立年:2004年
従業員数:30名
事業内容:小口事業融資、空き家相談、地域企業向けの相談対応
サイト:vol95-realestate.example.jp
取材に訪れたのは午前8時過ぎ。株式会社三輪製作室の古い住宅の玄関では、小口事業融資を待つ小さな列ができていました。日向 啓吾代表は、数字より先に現場の表情を見ます。
始まりは、予定通りにいかなかった月から
日向 啓吾代表が最初に語ったのは、売上が伸びた話ではありません。2009年11月、主力だった仕事が二件続けて止まり、予定していた人員表が空白になりました。「小口事業融資の件数が多いことと、株式会社三輪製作室が強いことは別でした」と振り返ります。
——忙しいのに苦しかった時期はありましたか。
日向 啓吾氏: 「狙っていたというより、数字より生活の順番を見たことが先でした。売上だけ見れば痛かったです。でも、そこで受け方を変えなければ、30人の会社なのに一人の我慢で回す形になっていたと思います。今は月末に7項目だけ、現場のメモを見返します」
増やす前に、受け方を変えた
株式会社三輪製作室では、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえば小口事業融資の依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に空き家相談のように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
古い住宅の玄関にある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど日向 啓吾代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
一人の経験を閉じ込めない
——仕組みにする時、どこから手をつけましたか。
日向 啓吾氏: 「うちは大きな会社ではないので、全員が同じ動きにはなりません。だから断る理由も記録する。それを見て、次の担当が自分の言葉で確認できればいいんです」
別のスタッフが、納期のメモを持って日向 啓吾代表のところへ来ました。話は三分ほどで終わりましたが、最後に小口事業融資の確認者だけは紙に残します。小さな手間を省かないところに、株式会社三輪製作室の癖があります。
地域で続ける会社として
株式会社三輪製作室が次に進めたいのは、小口事業融資の相談を次の世代へ渡すための記録づくりです。ただし、日向 啓吾代表は拡大を急ぎません。北海道で今の顧客が困った時に思い出せる状態を保つ。そこで無理をすると、会社の声が薄くなるからです。
——次の10年で残したい景色は何ですか。
日向 啓吾氏: 「急ぐ時ほど、何をしないかを決めます。旭川市永山の仕事は顔が近いので、無理をするとすぐ伝わります。長く続けたいなら、背伸びより約束を守る方が先です」
最後に見たのは、古い住宅の玄関に貼られた古いチェック表でした。新しい仕組みではありません。それでも日向 啓吾代表は「残っているものには理由がある」と言います。大げさに語らない強さが、そこにありました。