Vol.96
Vol.96 藤沢市辻堂の篠浦工房が白髪ぼかしで常連客との関係を深める方法
2025年5月20日

PROFILE
会社名:株式会社篠浦工房
代表者名:浜坂 宗一
所在地:神奈川藤沢市辻堂
設立年:2009年
従業員数:26名
事業内容:白髪ぼかし、成人式前の相談、地域企業向けの相談対応
サイト:vol96-beauty.example.jp
藤沢市辻堂のシャンプーブースで、浜坂 宗一代表は白髪ぼかしの納品前チェックをしていました。派手な発表はありません。けれど、前回の会話を短く残すという一つの癖に、この会社の続け方が出ています。
最初の転機は、売上が止まった週にあった
浜坂 宗一代表が覚えている最初の違和感は、月末の売上表ではなく、朝の空気に出たと言います。8月のある週、スタッフが誰も口を開かず、シャンプーブースの確認だけが増えました。代表はそこで仕事の受け方を見直しました。
——数字の見方はいつ変わりましたか。
浜坂 宗一氏: 「きっかけは格好いいものではありません。売上より再来周期を見たあと、予定表より人の顔を先に見るようになりました。白髪ぼかしは段取りの乱れがすぐ表に出ます。小さい会社ほど、無理の出どころをごまかせません」
数字だけで決めないための表を作った
株式会社篠浦工房では、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえば白髪ぼかしの依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に成人式前の相談のように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
シャンプーブースにある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど浜坂 宗一代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
現場の迷いを翌月に残さない
——記録を続けるための工夫は。
浜坂 宗一氏: 「任せる前に、どこで迷うかを聞きます。前回の会話を短く残すだけでも、次の人の入り方が変わります。立派な資料より、その日の現場で使える一言の方が残ることがあります」
この日、株式会社篠浦工房では白髪ぼかしの相談が二件重なっていました。浜坂 宗一代表は順番を決める前に、誰が何を見落としそうかを聞きます。予定表より先に迷いを出す。そこが現場を軽くしています。
広げる前に守りたいこと
浜坂 宗一代表の関心は、無理な受注を減らしながら、紹介で来た仕事を断らない体制づくりにあります。広げる前に、今の26人で約束を守れるかを見る。そこを飛ばすと、藤沢市辻堂で積み上げてきた紹介の理由が弱くなると言います。
——これから広げたいことはありますか。
浜坂 宗一氏: 「大きく見せるより、明日も同じ温度でシャンプーブースに立てることだと思います。白髪ぼかしは速さだけで勝てない場面が多いです。断る理由、待ってもらう理由、もう一度頼まれる理由を、自分たちの言葉で持っておきたいです」
取材後、シャンプーブースでは次の白髪ぼかしの準備が始まっていました。声は大きくありません。けれど、株式会社篠浦工房では誰が何を確認するかが自然に決まっていました。神奈川の小さな事業として見た時の現実味があります。