Vol.58
Vol.58 亀岡市篠町の鳴砂研究所が季節棚の編集で次の担い手へ渡す仕組み
2025年9月9日

PROFILE
会社名:株式会社鳴砂研究所
代表者名:北見 和臣
所在地:京都亀岡市篠町
設立年:1997年
従業員数:25名
事業内容:季節棚の編集、ギフト提案、地域企業向けの相談対応
サイト:vol58-retail.example.jp
亀岡市篠町の閉店後の店内で、北見 和臣代表は季節棚の編集の納品前チェックをしていました。派手な発表はありません。けれど、売れ残りを失敗で終わらせないという一つの癖に、この会社の続け方が出ています。
続け方を考え直した一件
北見 和臣代表が覚えている最初の違和感は、月末の売上表ではなく、朝の空気に出たと言います。5月のある週、スタッフが誰も口を開かず、閉店後の店内の確認だけが増えました。代表はそこで仕事の受け方を見直しました。
——忙しいのに苦しかった時期はありましたか。
北見 和臣氏: 「売上が落ちた時より、同じ説明を三回した時の方が危ないと思いました。修理と相談を売上の柱にしたことで、受ける量と説明する順番を変えました。そこから少しずつ、現場の声が戻ってきました」
売上表の横に、現場メモを置く理由
株式会社鳴砂研究所では、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえば季節棚の編集の依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆にギフト提案のように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
閉店後の店内にある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど北見 和臣代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
強みは、手順と会話の間にある
——スタッフの声はどう拾っていますか。
北見 和臣氏: 「任せる前に、どこで迷うかを聞きます。売れ残りを失敗で終わらせないだけでも、次の人の入り方が変わります。立派な資料より、その日の現場で使える一言の方が残ることがあります」
この日、株式会社鳴砂研究所では季節棚の編集の相談が二件重なっていました。北見 和臣代表は順番を決める前に、誰が何を見落としそうかを聞きます。予定表より先に迷いを出す。そこが現場を軽くしています。
大きく見せない成長の仕方
北見 和臣代表の関心は、無理な受注を減らしながら、紹介で来た仕事を断らない体制づくりにあります。広げる前に、今の25人で約束を守れるかを見る。そこを飛ばすと、亀岡市篠町で積み上げてきた紹介の理由が弱くなると言います。
——これから広げたいことはありますか。
北見 和臣氏: 「急ぐ時ほど、何をしないかを決めます。亀岡市篠町の仕事は顔が近いので、無理をするとすぐ伝わります。長く続けたいなら、背伸びより約束を守る方が先です」
最後に見たのは、閉店後の店内に貼られた古いチェック表でした。新しい仕組みではありません。それでも北見 和臣代表は「残っているものには理由がある」と言います。大げさに語らない強さが、そこにありました。