Vol.79
Vol.79 仙台市若林区の篠浦相談所が社会人向け簿記講座で続けられる速度の決め方
2025年7月11日

PROFILE
会社名:株式会社篠浦相談所
代表者名:北見 理沙
所在地:宮城仙台市若林区
設立年:2001年
従業員数:56名
事業内容:社会人向け簿記講座、親子向け実験教室、地域企業向けの相談対応
サイト:vol79-education.example.jp
仙台市若林区の配布資料の山で、北見 理沙代表は社会人向け簿記講座の納品前チェックをしていました。派手な発表はありません。けれど、分からなかった顔を記録するという一つの癖に、この会社の続け方が出ています。
会社の癖が見えた最初の失敗
株式会社篠浦相談所の創業から数年は、来た仕事を断らないことが正しいと思っていました。ところが2009年の春、社会人向け簿記講座の納期が三件重なり、配布資料の山に残ったメモだけでは段取りを戻せなくなりました。
——忙しいのに苦しかった時期はありましたか。
北見 理沙氏: 「売上が落ちた時より、同じ説明を三回した時の方が危ないと思いました。受講後の電話確認を始めたことで、受ける量と説明する順番を変えました。そこから少しずつ、現場の声が戻ってきました」
転機は、大きな投資より小さな線引きだった
株式会社篠浦相談所では、案件ごとの採算だけでなく、準備にかかる手間、担当者の得意不得意、翌週に残る疲れまで見ます。たとえば社会人向け簿記講座の依頼でも、短納期で説明が薄いものは一度立ち止まる。逆に親子向け実験教室のように小さく見える相談でも、次の関係につながるものは丁寧に拾います。
配布資料の山にある表は、外から見るとただの走り書きです。納期、数量、連絡待ち、迷った理由。そこに整った言葉はありません。けれど北見 理沙代表は「書いた本人が翌週読めるなら十分」と言います。判断を飾らず残すことが、同じ迷いを減らしています。
こだわりは、説明よりも段取りに出る
——新人に最初に伝えることは何ですか。
北見 理沙氏: 「任せる前に、どこで迷うかを聞きます。分からなかった顔を記録するだけでも、次の人の入り方が変わります。立派な資料より、その日の現場で使える一言の方が残ることがあります」
取材中にも、スタッフが社会人向け簿記講座について短く確認しました。北見 理沙代表は結論を急がず、前回の記録を一緒に探します。正解より先に、判断の順番をそろえる。その数分が、あとで大きな手戻りを防いでいます。
次に残したい仕事、残さない仕事
北見 理沙代表の関心は、宮城周辺の小さな会社同士で、困った時に仕事を回し合える関係づくりにあります。広げる前に、今の56人で約束を守れるかを見る。そこを飛ばすと、仙台市若林区で積み上げてきた紹介の理由が弱くなると言います。
——急がない経営をどう捉えていますか。
北見 理沙氏: 「大きく見せるより、明日も同じ温度で配布資料の山に立てることだと思います。社会人向け簿記講座は速さだけで勝てない場面が多いです。断る理由、待ってもらう理由、もう一度頼まれる理由を、自分たちの言葉で持っておきたいです」
帰り際、配布資料の山には次の予定を書いた小さな紙が残っていました。北見 理沙代表はそれを見て、「こういう紙が一番あとで効くんです」と笑います。こうした名もない紙には、続ける会社に必要な細部が宿ります。